揚げ足は短いほどとりにくい

バンパー広告とアンガーマネジメントの6秒ルール。でも、ズバッと言い切るメッセージには危険も潜む。

6秒の瞬間芸、バンパー広告。

YouTubeを見ていると、冒頭に短いCMが入ることが多いですね。しかも2回連続して入ることもあります。これは「バンパー広告」といって、6秒という短い尺ですが、そのかわりスキップできません。強制的に見せられるわけです。わずか6秒間なので、スキップできなくとも、ほとんどの人はそれほどストレスは感じないと思います。ちなみに「この広告は5秒後にスキップできます」というタイプを、トゥルービューインストリーム広告と言います。6秒間スキップできないバンパー広告に続けて、この広告が流れることもあります。スキップできないバンパーの勢いで見せてしまおうという意図があるのかもしれません。日本のテレビCMの場合、番組と番組の間で流れる15秒のスポットCMと、番組内で流れる30秒のタイムCMが主流です。ちなみに一社提供番組の中では、60秒や90秒のCMを流す場合もあります。15秒でも充分短いのですが、バンパーはたったの6秒。その短時間で、何を伝えるか、どう心に残すかが勝負となります。6秒の瞬間芸という考え方もできるでしょう。6秒ではわざと謎を残しておいて、その先はキーワードを頼りに検索してたどり着いてもらう、という凝った芸風もあるでしょうが、多くの場合、ネーミングの連呼であったり、セールの告知であったり、15秒CMのエッセンスを残した短縮版という造りが順当なやり方でしょう。

CMを、秒数ではなく枠のかたまりとして考える。

テレビCMは15秒や30秒で、しかもいくつも続けて流れます。タイムシフトして見ていなければ、2、3分間連続したCMタイムという時間のかたまりになるわけです。この連続した数分間ということが、CM離れの一因かもしれないと、私は密かににらんでいます。いくら面白いCMでも、視聴者にとっては、単発ではなく数分というかたまりの中の1要素です。これは私論ですが、CMの質を単体で考えても意味はなく、CMたちの「かたまり」として魅力的でないと、そのかたまりごとスキップされてしまうのではないかと考える次第です。CMタイムは、いわば玉石混淆CMの詰め合わせになっているので、その中に優れたCMがあっても、かたまり全体として興味を喚起しないのであれば、まとめてスキップされるというリスクがあるのではないでしょうか。バンパー広告が、冒頭に1回または2回流れるのとは違います。まあ、バンパーはそもそもスキップできないのですが。

なぜ6秒なのか?バンパーとアンガーマネジメント。

バンパー広告は、6秒という何となく中途半端な秒数ですが、これはGoogleの分析の結果による戦略でしょう。6秒といえば、バンパーとは関係ないと思いますが、アンガーマネジメントという、人の怒りを予防してコントロールするための心理療法プログラムに「6秒ルール」という法則があると聞きます。人が怒りを覚えた時に分泌されるアドレナリンは、怒りが生じた6秒後に分泌のピークを迎えるため、その6秒間をやり過ごせば、徐々に冷静さを取り戻していくという科学的根拠に基づいています。バンパー広告もアンガーマネジメントも、6秒というところが共通ですが、両者には関係があるのかは分かりません。

Googleいわく、バンパーは動画広告の俳句。

さて、Googleはバンパー広告のことを「動画広告の俳句」と呼んでいます。うまいことを言いますね。さすがGoogleです。では、俳句が6秒なのかというと、そういう意味ではないでしょう。単に短い時間にメッセージを詰め込むのがバンパー広告ではなく、6秒という制約の中に表現の広がりや世界を観せる、という意味で俳句と表現したのだと思います。これは、バンパー広告の制作者にとっては、ひじょうに示唆に富んだ言葉といえるでしょう。なぜなら、とにかく6秒分のコピーに縮めてみたとか、6秒しかないから目立つことだけ考えた、ということではないような気がするからです。そういう意味で、俳句のレベルに達している作品がどのくらいあったのか、Googleの見解を聞いてみたいところです。

俳句でアンガーマネジメントに挑戦、というか笑点。

さて話は変わり、バンパー広告もアンガーマネジメントも「6秒」がポイントであり、バンパー広告は「俳句」である、ということで、無理やりのこじつけですが、怒った時に一句読んでみる、という「俳句アンガーマネジメント」はいかがでしょうか?俳句を声に出して詠んでみると、例えば「古池や~蛙飛び込む~水の音~」とゆっくり読めば、およそ6秒です。俳句は季語などがあって難しいので、川柳にしますか?では、詠んでみます。

『くしゃみして・咳払いして・睨まれた』

どうしてもコロナの中での怒りになってしまいますが。くしゃみを咳払いで返されては、どっちもどっち。

『マスクしろ・わざわざ近寄り・注意され』

マスクをしないで歩いていたら、わざわざ顔を寄せてきて、「マスクしてください!」と。どういう神経なんでしょう。

『テレワーク・妻が写って・照れワーク』

Zoom会議中のあるある。

『ウーバーさん・わが家の回り・3周目』

GPSで現在位置を見ると、迷走している人がいます。まあ、怒ってはいけませんが。

『近寄るな・コロナの前に・汗臭い』

感染予防の前に、エチケットとしてのフィジカルディスタンスを。

『マスクせず・売り場で走る・元気な子』

と、検証してみましたが、怒りの場で一句詠むというのは無理ですね。普通に6つカウントした方がよいでしょう。