プレゼンよ、どこへ行く?

プレゼンテーターによって採否は左右される。プレゼンの本質はコミュニケーションだからである。

クリエイティブの場合、プレゼンはオリエン時から始まっている。オリエンの雰囲気は、指定なのか競合なのかによって全く違う。指定プレの場合、疑問はその場で徹底的に聞く。思いついたアイデアをあえて言ってみて、期待感を高めたり、クライアントのリアクションを見て参考にする。

競合プレではライバルが同席しているわけで、そこで質問しても相手にヒントを与えるだけだ。事務的な確認にとどまることが多い。提案はシリーズにして複数案を出しても大丈夫かといった、手の内を明かすような質問が出ることもまずない。踏み込んだ質問にはクライアントも回答しにくいはずで、真に必要な情報は、あとで個別にクライアントに聞くことになる。

オリエンを受けて、ストラテジックプランナー、メディア、プロモーション、デジタルなどのスタッフに営業を含めて基本戦略を練る。互いの視点から意見をぶつけ合う。マーケティング的に正攻法だがチャーミングな表現にならない、面白い表現だが行動変容を喚起できない、などなど。この社内会議も、CDにとってはプレゼンの場だ。

次のプレゼンの場は、社内外のスタッフへのブリーフィングである。個性的なメンバー揃いなので、ここで皆を納得させるブリーフを示せないと、気持ちも企画の方向性も一つにならない。クライアントのオリエンを丸投げするCDもいる。そういうCDに限って、やたらと企画を出させてチョイスし、そこから逆算して戦略を後づけする。

ともあれ企画はできた。次に待つのは、他のセクションへのプレゼンだ。営業、マーケティングなど、皆を納得させるプレゼンをしなければならない。そしてタレント事務所へのプレゼンもCDの仕事だ。クライアントに対するプレゼンまで、さまざまなプレゼンを突破しなければならないのがCDという仕事だ。