共助が難しい時代に

地域のイベントに復活のきざしが見える。中でもお祭りは、神輿や屋台など人と人との身体的な触れ合いが必須なイベント。掛け声無しで神輿を担ぐ姿は想像できない。屋台もあの雑踏が楽しいのであって、整然と並んで購入し黙って食べるのであれば、屋台の楽しさはない。

町内会など、公助と自助の狭間にある共助のコミュニティのあり方も変わる。大災害が起きた場合、自助・公助に加えて、共助の重要さが強調される。個々の備えという自助。国土強靭化や復興事業などの公助。そして被災者に対する地域の支え合いが共助である。しかし、コロナ禍での共助のあり方は難しかった。共助には、どうしてもフェイスtoフェイス、身体的な触れ合いを伴わざるをえないからだ。

地域の共助で大事なのは、高齢者や障がい者など自助が困難な人たちへの支援である。コロナ禍では、高齢者を訪ねていくのも気がひけた。また、町内会はいまだに回覧板を回しているように、本来オフラインのネットワークが前提だ。オフラインであることに存在価値がある。今後もその価値を活かしていくことが可能か。オンライン化に対応できない組織は淘汰されてもしょうがないという社会が生まれることを危惧する。

そのためにも、共助の現場でも、できるところはオンライン化していく努力が必要だ。その際大事なのは、オンラインに適応できない人が一人でもいる場合はオフラインのコミュニケーションも残し、その人が順応できるように皆で支えていく、ということだろう。すぐにオンライン化できる、オンライン化に時間がかかる、あえてオンライン化はしない、など、そのコミュニティの特性に合わせていくことが大事だ。

ビジネスでも、オンライン化で効率が高まる分野もあるが、低下する分野もある。どんなにクリエイティブな発想が素晴らしい人でも、オンラインのコミュニケーションが苦手なゆえに実を結ばない。それでは大きな損失である。